能登半島地震の被災地では、様々な復興支援イベントが催されている。著名歌手の慰問コンサート、一緒に何かをつくるアートプロジェクト……。その場に立ち会えば、参加した被災者の表情がぱっと明るくなる場面も、目にする。
それでも、どうしても考えてしまう。
こんなに大きな被害があったとき、アートにできることって、何だろう。
アートとスポーツを融合させた、一風変わったミニサッカー大会があると聞き、17日、石川県珠洲市の県立飯田高校を訪れた。
目の前で行われていたのは、見慣れない競技だった。
いびつな形の「ボール」は、勢いよく蹴っても、思いも寄らぬ方向に飛んでいく。選手の交代は自由で、高校生も白髪頭の大人も一緒に体育館を駆け回る。
大会は「HIBINO CUP」。アーティストで東京芸大学長でもある日比野克彦さん(66)が、アートとスポーツを一緒に楽しめるようにと各地で開いてきたワークショップだ。
被災地・珠洲と金沢の高校生たちが交流できるようにと、金沢21世紀美術館(金沢市)が日比野さんに珠洲市での開催を持ち掛けた。
まずは道具から自分たちでつくるのが、HIBINO CUPの特徴だ。
飯田高校の芸術部を中心とした2チームと、金沢市の県立工業高校デザイン科、21世紀美術館のスタッフの大人たちの計4チームが、それぞれTシャツに背番号や名前を描いてユニホームをつくった。
つづいて、ボールづくり。
日比野さんが出したお題は、「朝顔の種のようなボール」。
日比野さんは2003年から…